コレステロールは悪じゃない①LDL・HDLコレステロールとは?
先日、とあるクライアントさんとの会話から、
「この前、病院での検査でコレステロール値が高めって言われたんです。
これってやっぱり良くないんですよね~?」
というお話しに。
これ、よくある話なんですが、
ほとんど多くの人が勘違いしてるんですよね。
どうも、コレステロールに対するイメージが悪い。
コレステロールは悪くない!
話を聴けば聞くほど、
「コレステロールは身体に害を及ぼす悪者」
かのように思っている節がみられます。
そのたびに毎回ご説明しているのは、
「コレステロールは悪じゃない」
ということです。
この思い込みは、
世間一般的にコレステロールが、
「善玉」や「悪玉」と呼ばれているせいだと思います。
今では、生活習慣病世代であれば多くの人が知っている、
「悪玉コレステロール」「善玉コレステロール」という言葉。
ただ、そもそもコレステロールに善も悪もありません。
というか、身体にとってなくてはならない栄養成分。
必ず必要なものなので、それ自体が悪なわけありません。
コレステロールの重要性を知るためには、
まずは、この間違った思い込みやイメージをなくすこと、
そこから始めていきましょう。
2種類のコレステロールに対する誤解を解こう!
肝臓で作られた栄養成分(コレステロールやタンパク質など)は、
血液によって体内の各細胞へと運ばれます。
タンパク質は水と相性がいいので、
そのままの形でも血液の流れに乗ってうまく移動できます。
でも、コレステロールは脂質なので、
油が水と混ざらないのと同じように、
そのままの形では血液にうまく溶けず、流れに乗って移動できません。
そこで、肝臓はコレステロールなどの脂質を、
タンパク質でコーティングした物質を作ることで、
たんぱく質も脂質も一緒に効率よく血液によって運ばれるようにしています。
この物質をリポプロテインと言います。
肝臓を出ていくときのリポプロテインは、
コレステロール等の脂質を多く含んでおり、
この状態のリポプロテインをLDLといいます。
肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ働きがあります。
逆に、肝臓へと戻ってくるときのリポプロテインは、
コレステロールが少なくタンパク質を多く含む状態になっています。
この状態のリポプロテインをHDLと言い、コレステロールを肝臓に戻すお掃除役です。
要するに、LDLコレステロールもHDLコレステロールも、
その状態に違いがあるだけでコレステロールとしては同じ物質です。
LDLコレステロールを「悪玉」、
HDLコレステロールを「善玉」と呼んだりしますが、
「悪い働きをするコレステロール」と、
「良い働きをするコレステロール」の2つがあるわけではないんです。
むしろLDLは大事な栄養成分の塊なので、これがないとまずいくらいです。
確かに、健診などの結果でLDLの値が異常に高い人の場合、
動脈硬化を招きやすく、将来的に心疾患や脳卒中など、
三大死因と呼ばれるような病気になる可能性が高いと予測することはできます。
ただし、大事な栄養成分の塊であるLDLを、
「悪玉」と呼ぶのは大きな間違いです。
食べ過ぎや運動不足などにより、LDLが過剰に増えることが問題であり、
LDLそのものが問題や悪ではないということです。
病院などでよく、
「悪玉コレステロールを減らしましょう。」
などといっている場面を見聞きすることがありますが、
こんな伝え方は完全に的外れもいいところです。
これはコレステロールに対する誤解を招くだけでなく、
コレステロール不足による、
将来の致命的な病気を引き起こすリスクを高める大きな原因だと言えます。
まとめ
何度でも言いますが、
LDL中のコレステロール(いわゆる悪玉)であっても、
HDL中のコレステロール(いわゆる善玉)であっても、
コレステロールは私たちの体にとって重要な栄養成分です。
善も悪もありません。
血液中のコレステロールが必要量以下に不足すれば、
私たちの生命は維持できません。
たとえば、発展途上国で栄養不足のために死んでいく子供たちの血液検査をすれば、
LDLコレステロールの値はものすごく低いと予測できます。
ということで、今回は多くの人がイメージしがちな、
「コレステロールは悪である」
という間違った思い込みについてお伝えしました。
次回は、コレステロールが身体にとって欠かせない理由と、
その重要な働きについてお伝えしていきます。